臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「藤野…好きだよ」


佐久間の顔がどんどん近付く。このままでは好きでもない人とキスをしてしまう。絶体絶命だ!


(千尋~!助けて~~!)


心の中で千尋に助けを求める。

麻由子の心の叫び声はそう簡単に伝わらない。



「ねえ、明日、新しいカーテンを買いに行きたいからつき合ってくれない?」

「うん、いいよ。どこに行く?」

「えーとね」


その頃、千尋は楠本と明日の予定を楽しそうに話していた。



麻由子、ピンチである。心で叫んでも誰も助けに来てくれない。


「やめて!」


佐久間の手をどかそうと押さえている手を掴む。自分で逃げるしかない。
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