臆病な恋心～オフィスで甘く守られて～
「待てよ。一緒に行くくらいいいだろ」


佐久間は麻由子の横にピタッとついて来る。

麻由子は無視して、進む。

あと少しで航平の元に辿り着ける。航平の姿は佐久間の目にも入っている。

追いつかれてしまう前に…


「待てったら！」


麻由子の腕をギュッと掴む。意地でも行かせない。


「離して！」


立ち止まってしまった麻由子は、掴まれた腕を振り払おうとする。しかし、男の強い力はそう簡単には離れない。



「いい加減にしろよ。いつもいつも、嫌がっているだろ」


横から航平が佐久間の手を掴んで、麻由子から離した。

航平は麻由子の嫌がる声が聞こえたので、振り返り、近付いてきたのだ。


「また速水さんですか…」


佐久間は邪魔をする航平を睨む。

睨まれたら、睨み返す。佐久間に睨まれても全く怯むことはない。


「いい加減に諦めろよ」

麻由子の手を握って、歩き出す。


< 164 / 255 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop