臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「どうした?」


返事をしない航平を課長は怪訝そうに見る。何か問題でもあるのだろうか。行けない理由でも?


「いえ、行きます」


麻由子と離れたくないから、行きたくないのが本音だが、それを理由に断ることは出来ない。だから、すぐに答えることが出来なかったものの、迷う気持ちはなかった。

営業課は特に転勤が多い部署である。以前からいつか言い渡されると覚悟はしていた。


転勤を重ねていくことで、仕事に対しての技術を磨いていく。

成長や出世していく上で、異動は不可欠とも言える。

今回の異動は自分をスキルアップさせるものだと思うし、出世にも繋がるということは航平にも分かっていた。

転勤は自分のためになる。
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