恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
と言いかけた、そのとき。
プルルル、という音とともに花澄の携帯にメールが入った。
花澄は慌てて鞄の中から携帯を出した。
隣を歩いていた雪也が、花澄の携帯を見ておやといったように眉を上げる。
「あ。ストラップ、つけてくれてるんだ」
「うん。この間は本当にありがとう、雪くん」
花澄は少し笑い、メールを確認した。
メールは環からだった。
『帰り、何時になる?』
なんというか、相変わらずそっけない文面だ。
いつものことではあるが……。
環は夕飯の準備があるため、花澄が外出しているときは必ず帰宅予定を聞いてくる。
はぁと息をつき『今から電車に乗るから』と打とうとした花澄だったが。
その手を、雪也の手がそっと止めた。
「……?」
――――掴まれた手が、熱い。
突然のことに驚き頬を染めた花澄に、雪也は口元に笑みを刻んで言う。