恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



なんだかこそばゆい気もするが、四人で写真に写る機会などめったにない。

花澄は頭ひとつ分ほど高い位置にある賢吾の顔を見上げた。


「賢吾さん、後でその写真、焼き増ししてもらってもいいですか?」

「あ、兄貴。俺も欲しいな」

「できたら、私も……」

「了解。じゃあ、焼き増しして皆の家に送るから。楽しみにしてて?」


賢吾は眼鏡の奥で笑い、言う。

花澄は頷き、口元に笑みを浮かべた。



……高校最後の、夏の想い出。

いろいろハプニングはあったが、来て良かった。

きっとこの夏を自分は一生忘れないだろう。

花澄は想い出を胸に焼き付けるように、皆の顔をもう一度、ゆっくりと見回した……。



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