恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



呆然とする花澄を雪也は正面からじっと覗き込む。

その瞳に仄かな熱情が揺らめくのを、花澄は息を飲んで見つめた。


……瞳から伝わる、強い感情。


心まで絡め取ろうとするような、熱い視線。

その熱さに、甘さに、胸が高鳴る。

ドキドキする花澄の前で、やがて雪也はそっと目を伏せ、唇に笑みを乗せた。


「……君のおばあ様には、22時を過ぎる許可は取ってある」

「……っ……」

「だからもう少し、付き合って?」


いつもは穏やかで優しい瞳が、今は強引な光を浮かべて花澄を見つめている。

花澄は頬を真っ赤に染め、こくりと頷いた……。



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