恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



花澄は頭を抱えて机に突っ伏した。

……あれから4日。

環はこの4日間、これまでと同じように花澄に接している。

家では執事として、学校では普通のクラスメイトとして……。

けれど二人きりになると、これまでとは違った表情を見せるようになった。

……切なげな、辛そうな瞳。

能面のような冷たい表情の下に隠していた、環の本当の感情。

あの瞳が、表情が、あれは夢ではなかったのだと花澄に告げる。


あのことを忘れていた自分にも非があるが……

環の告白は花澄にとっては青天の霹靂だった。

まるで予想もしないところから、突然頭を殴られたような衝撃。

花澄は無意識のうちに自分の唇に手を伸ばした。


「……っ」


< 304 / 476 >

この作品をシェア

pagetop