恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



花澄はこのところ、ずっと何かに悩んでいる。

重い悩みを抱えているかのような、苦しげな顔をすることが増えた。

けれど花澄は自分にその悩みを打ち明けようとはしない。

打ち明けないのは、どうしてなのか……。


まだ、花澄の心には雪也がいるのだろうか……。


花澄の携帯には、まだあの男に貰ったストラップがついている。

花澄自身は『貰い物だから』という理由で深く考えてはいないのかもしれないが、環はあれを見るたび、引きちぎりたい衝動に駆られる。

まさかそんなことをするわけにもいかないので、自分を押さえているが……。

黒い嫉妬が環の心を苛み、痛めつける。

環はぐっと唇を噛みしめた。


――――花澄の全てを、自分のものにしてしまいたい。


身も、心も……

彼女の全てを知り、その全てに自分のものだという証を刻み込みたい。

四年間の別離の間に、彼女の心が自分から離れていかないように……

例え雪也に言い寄られても、彼女の心が動くことがないように……。



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