恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



心と体から湧き上がる、欲望。

絶対に許されないと分かっていても、望んでしまう……。

キスだけで耐えているのが我ながら奇跡的だと思う。

欲望はもはやコントロールを失い、暴走寸前だ。

……正直、限界は近い。


きっと花澄は、自分がこんな黒い欲望を抱えているなど想像もしていないだろう。

キスには大分慣れてきたようだが、体の関係までは考えていないに違いない。

――――こんな生々しい感情を抱えているのは、多分、自分だけだ。


花澄を傷つけるようなことはしたくない。

彼女の笑顔だけを見ていたい。

そう思うのに……。

環は深いため息をつき、窓の外に視線を投げた……。



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