恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



――――その日の夜。

花澄は雪也に貰ったストラップを携帯から外し、机の棚へとしまった。

……懐かしい夏の想い出。

あの夏の想い出は、花澄の中で輝かしい想い出となって宝石のように輝いている。


――――叶わなかった、初恋。

胸を締め付ける痛みとともに、胸の奥に沈めた、雪也との思い出……。


花澄は目を伏せ、窓の外を見た。

窓の外には初雪だろうか、白いものがうっすらと積もっている。

……夏は過ぎ、今は冬だ。

全てを凍らせる、冬……。


花澄はひとつ息をつき、そっとカーテンを閉めた。



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