恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
花澄は環が手にしている小さな箱を見るなり、目を見開いた。
……それは。
花澄がここ2年ほど熱愛している、四国の某マスコットキャラの絵柄が付いた箱だった。
鳥をモチーフにしたそのキャラは、丸いフォルムで非常にかわいらしい。
「そ、それ……、まさか……っ」
「半年ほど前に応募したのを忘れてました。まさか今頃届くとは」
環はニコリと笑って言う。
花澄は唖然と箱を見つめた。
この春、花澄はそのキャラに会いたいあまり知奈と一緒にはるばる四国まで行ったのだが、大人気で写真すら一緒に撮ることができなかった。
仕方なくグッズを小遣いの範囲で買い占めて帰ってきたのだが……。
「おや。……どうやら、新作のストラップが入っているようですね?」
「……っ!!」
環は箱を明け、中身を取り出した。
箱から出てきたのは、普通には販売されていない新作のストラップだった。
目を見開いて凝視する花澄の視線の先で、環はストラップを手に取りまじまじと見つめる。