恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



「……よく見るとこのキャラ、どことなくお嬢様に似てる気がしますね」

「……え?」

「この丸太的体型といい、脳が溶けかかっているような表情といい。実に良く似てらっしゃいますよ」


――――丁寧な口調だが、明らかに馬鹿にされている。

思わず手が出そうになったが、このストラップの命運を握っているのは環だ。

ふるふる震える花澄を見下ろし、環はくすりと笑う。


「これは根付ぬいぐるみですね。携帯のクリーナーにでも使えそうですが」

「携帯クリーナー!? ……ちょっと環、その子をどうするつもりなのっ!?」

「どうって。私が私のモノをどう使おうが自由だと思いますが?」


環は実に楽しげににこにこ笑いながら言う。

花澄が欲しがっているのを分かった上で、わざと言っているのだ。

『欲しいなら頼むんだな』……と告げているその視線。

花澄はぐっと環を睨みつけた。



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