恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



叶うなら、今すぐ花澄を攫って二人しか知らないところに連れて行きたい。

花澄は大学を出たら雪也と結婚する。

御曹司の雪也であれば、大学を出た直後からでも生活の目途は立つだろう。

環はこれまで、大学を出て生活基盤が出来てから花澄を迎えに来たいと思っていた。

しかしそれでは、花澄を雪也に取られてしまう……。

となると……。


……方法は、ひとつしかない。


正常な判断力を失っていると自分でもわかっている。

現実を考えれば生易しいことではないことも。

けれど一度その考えに囚われたら、もう抜け出すことはできない。


招待留学の結果が正式に出たら、花澄に告げたい。

……二人が離れないための、たったひとつの方法を……。

環は花澄の頬にそっと唇を寄せ、愛おしげにキスを落とした。



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