恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】

2.流れ着いた場所




2月下旬。

花澄は女子大に無事合格した。

2校受け、1校は落ちてしまったが、受かった1校はここから電車で通学可能な私立大学だ。

そして雪也も、センターの推薦入試で無事に京大に合格した。

しかし、環は……。


花澄はその日の夜、自分の部屋で受かった女子大の入学案内に目を通していた。

文系なので学費は理系よりは安い。

といっても国公立に比べれば倍ぐらいかかる。

今の家の経済状況で学費は大丈夫なのだろうか、と内心で心配に思った時。

――――プルルル、と携帯が鳴った。

着信画面を見ると、……環だ。


「もしもし?」

『花澄。……今日、国費招待留学の結果が出た』


環の言葉に、花澄は息を飲んだ。

環は電話越しに続ける。


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