恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



「別に、高望みしてるわけじゃないんだけど。なんというか、いまいち乗り気にならないというか。どうも思い切れないというか……」

「そりゃ、あんた。初めて付き合ったオトコのレベルが高すぎたのよ」


さくっと知奈は言う。

花澄はがくりと肩を落とした。

……やはり、そうなのか……。

何も言えない花澄に、知奈はどこか呆れたような口調で言う。


「初めての恋人があれだけのイケメンで、あれだけ情熱的で、幼馴染で、しかもあんな別れ方をしたとなったら、あんたが忘れられないのもムリないわ」

「……やっぱ、そうなのかな……」

「当たり前でしょ! あんな男、UMA並みに希少なんだから。よく手放したわね、あんた」


知奈の言葉に、花澄は思わず仰け反った。

UMAって……。

この世に存在しているのは確かなので、未確認動物ではないのだが……。

まじまじと知奈を見る花澄の前で、知奈はグラスを呷った。



< 13 / 389 >

この作品をシェア

pagetop