恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「別に、高望みしてるわけじゃないんだけど。なんというか、いまいち乗り気にならないというか。どうも思い切れないというか……」
「そりゃ、あんた。初めて付き合ったオトコのレベルが高すぎたのよ」
さくっと知奈は言う。
花澄はがくりと肩を落とした。
……やはり、そうなのか……。
何も言えない花澄に、知奈はどこか呆れたような口調で言う。
「初めての恋人があれだけのイケメンで、あれだけ情熱的で、幼馴染で、しかもあんな別れ方をしたとなったら、あんたが忘れられないのもムリないわ」
「……やっぱ、そうなのかな……」
「当たり前でしょ! あんな男、UMA並みに希少なんだから。よく手放したわね、あんた」
知奈の言葉に、花澄は思わず仰け反った。
UMAって……。
この世に存在しているのは確かなので、未確認動物ではないのだが……。
まじまじと知奈を見る花澄の前で、知奈はグラスを呷った。