恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



「……どうして……」


────唸るような、声。

はっと顔を上げた花澄の目に、環の鬼気迫る顔が映る。

怒りを漲らせた、その激しい瞳に思わず息を飲む。


「どうしてっ! おれが嫌ならおれを刺せばいい。どうして自殺なんて……っ!」


環は花澄の両肩を掴み、自分の体の前にぐいと引き寄せる。

花澄はぽかんと環を見上げていた。

……自殺?


「お前は、そこまでおれが嫌なのか!? おれがこんなことをしたから、お前は……っ」

「環……?」


花澄は眉を顰め、環の瞳をじっと見た。

環は焦りと怒りに染まった瞳で花澄を見据えている。

……環は何かを勘違いしているらしい。

花澄は慌てて言った。


「ちっ、違うよ! 嫌いとか、そういうんじゃ……」

「じゃあ、なぜ!?」

「……っ……」

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