恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



花澄が兄を愛していると言うのなら、それで幸せになれるというのなら、まだ諦めもついた。

しかし二人の間に愛はないと知った今、諦めるなどという選択肢はとうに雪也の中から消滅している。

花澄を愛していない兄より、花澄を愛している自分の方が彼女を幸せにできるのは明白だ。

そう思い込もうとする自分がいる。


雪也はベッドのサイドテーブルに目をやった。

サイドテーブルの中には指輪の入った小箱がある。

先週、二人の婚約を知る前、雪也は今週末のホワイトデーに花澄に渡そうと指輪を手配した。

賢吾とのことは気がかりだったが、それを払拭するためにも花澄にはっきりと自分の気持ちを伝え、彼女との関係を一歩進めたかった。


それが、今は……。


この先、自分たちがどうなるのか……。

花澄が困惑し、悩んでいることは雪也ももちろんわかっている。

けれどもう、自分も引くわけにはいかない。

例え周りの人間を苦しめることになっても……。


二人を思うと胸が引き裂かれそうに痛む。

雪也は目元を片手で押さえ、重苦しいため息をついた。


< 266 / 334 >

この作品をシェア

pagetop