恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



「なんかさ、もうちょっと頑張ろうって気にならないの? 女は恋してナンボでしょ?」

「そうだけどさ~……」

「ま、でも花澄の場合は初めてのオトコがオトコだったから、いっそお見合いとかの方が向いてるのかもしれないけどね?」


知奈の言葉に、花澄は思わず梅酒サワーを吹き出しそうになった。

……突然何を言い出すのか、知奈は。

慌てふためく花澄に、知奈と真理子は顔を見合わせて楽しげに言う。


「何しろ相手はあの相沢君だもんね。眉目秀麗にして文武両道、性格はクールだけど恋人には一途で情熱的。なかなかいないわよ? あんなオトコ」

「初めてのオトコがアレだったら、確かに目も眩んじゃうわ。……やっぱあんたさ、見合い結婚しなよ? 多分あんたこの先一生、恋愛結婚はできないわ」


知奈はカラカラと笑いながら言う。

花澄は咽ながら知奈を上目づかいで見た。


「……っ、知奈、なんで……っ」

「なんでって。そりゃ、無意識のうちに比べちゃうからよ。あんたがこの7年、恋愛に入れ込めない理由って、それなんじゃないの?」



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