恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
その日の夜。
22:00。
花澄は風呂を上がったあと、雑誌を片手にベッドで寛いでいた。
数ページ雑誌をめくったところで手を止め、ビックサイトでのことを思い出す。
……なぜあんな所に、環がいたのか。
どんなに姿形が変わっても、自分には一目でわかる。
あの黒髪も榛色の瞳も、記憶に刻まれたものと全く変わっていなかった。
花澄の胸に、軋むような痛みが広がっていく。
……彼に会いたい気持ちはある。けれど……
恐らく彼は、7年前に裏切った自分を許しはしないだろう。
彼は白黒はっきりつける性格だ。
一度裏切った自分を赦すなどということは、ない。
7年前、どうして自分は環について行くことができなかったのか……。