恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



花澄は呆然とその横顔を見つめた。

……なぜ環が、こんなところにいるのか。


自分は、幻を見ているのではないのか……。


立ち尽くす花澄を、宮澤が不思議そうに見る。


「どうかしたかね、花澄ちゃん?」


その声に花澄ははっと我に返った。

既に環の姿は人混みにまぎれ、いくら探してもその姿は見当たらない。


……幻、だったのだろうか……。


胸が、もの凄い勢いでバクバクと動き出す。

花澄は慌てて首を振り、手元のパンフに視線を戻した。



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