体育館の天井に挟まっているバレーボール




そんなことをしている間にもヴーッっと音がして周りが暗くなった。
始まるな、と思い私も先輩も静かになる。


『恋の寿命は三年ってよく言うでしょ?』

今人気急上昇中の女優がそう言ってから泣きはらした目で恋人を見つめるシーンから始まった。
茶髪で、ぱっちりした目に、二重まぶたの女優。
先輩はこーゆー人がタイプですかそうですかへー、となんとも面白くない気持ちで見ていた。
何よりも恋の寿命は三年という言葉が私と先輩の終わりを暗示しているような気がしてムカムカした。
私と先輩はまだ三ヶ月だけど。

『どうにもならないこともあるんだって世の中には。お前はそういうの分かろうともしないでワガママばっかりだよな。』

彼氏役の男性もまた人気急上昇の人だった。
どうやら別れ話から様々な出来事を経て恋人がよりを戻す話らしい。
先輩はこんなコテコテの恋愛ものが見たかったのだろうか。
なんだかイメージと違う。
いつも先輩はミステリーものの小説を読んでいるから映画もミステリーものが好きなのだと思っていた。
甘い空気なんかなくて、彼女らしい扱いも滅多にしてくれない先輩だけど、なんだか恋愛ものの映画とはしっくりきていた。
黙っていれば静かな文学青年に見える容姿をしているからか。



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