大嫌いなバレンタイン
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「……うそ」
電車に乗って、雪乃の会社の近くの駅で降りる。
紙袋を傾けないように改札を出て、ポカーンと口を開けた。
「雪……降ってる」
さっきまでは晴れていたはずなのに、いつの間にかしんしんと降り積もっている雪。
もちろん、傘は持っていない。
ポケットから携帯を取り出して時間を確認してみるけど、ここで雪が止むのを待っている時間はなさそうで。
入れ違いになるのだけは、避けたい。
と、積もったばかりの雪に足跡をつけた。