大嫌いなバレンタイン
すべてが、卑屈な考えになる。
お願いだから……こっちに来てほしくない。
近づいてくる足音に、そう願う。
その時、目の前を通るタクシーがスピードを落とした。
チカチカとライトを点滅させて、すぐそばで止まった音がした。
「今日は雪がすごいから、駅までタクシーで行くわ」
「そ。じゃあ、また明日」
「うん、お疲れ」
そして、聞こえたそんな会話。
どうやら、間一髪のところで女の人はタクシーに乗っていったみたいだ。