大嫌いなバレンタイン
こぼれだした涙が止まらない。
「……大嫌い……バレンタインなんて、大嫌い」
震えた声でそう呟く。
きっと雪乃、幻滅したかな。
彼氏の誕生日が大嫌いなんていう彼女、聞いたことないもん。
そう思いながら、あたしはさっき雪乃に着せられたコートを脱ぐ。
チョコケーキの入った紙袋と鞄を持って、車のドアに手をかけた。
「ごめん……帰る」
雪乃の顔は見れないまま、だけど……それが出来なくなったのは。
「ダメだから」
後ろから、ギュッと雪乃に抱き締められたから。