大嫌いなバレンタイン
「これ、食えるとき」
そう言ってニヤリと笑った雪乃が持ち上げたのは、チョコケーキの入った紙袋。
「っ……!」
もちろん、中身はなにかまだ言ってないはずなのに。
「俺にでしょ? これ」
「……っそう、だけど……ダメ! 今年はダメ!」
「今年は……って、なんでだよ(笑)」
「だっ、だって……」
理由を聞かれて、なんと言っていいか分からずに俯く。
不思議そうな雪乃が、あたしの顔を下から覗く。