大嫌いなバレンタイン
少しだけシワのついた紺のスーツ。
白いワイシャツ。
いつの間にか、緩められたネクタイ。
そこから見える、綺麗な鎖骨。
保育園も小学校も、中学校も高校も、ずっと一緒だった。
同じ18歳。
だけど、あたしが着ているのは学校の制服で。
雪乃が着ているのは、お父さんが会社に行くとき着ているような仕事用のスーツ。
夏生まれのあたしと、早生まれの雪乃。
だから、いつも雪乃は半年だけあたしの先を歩いているのだ。