大嫌いなバレンタイン
「小夏、帰りは?」
放課後、いつも一緒に帰る友達にそう聞かれる。
「……あ、今から電車乗ってこれ渡しに行かなきゃだから」
「そっか! じゃあ、明日ね」
「うん、またね」
これ……であるチョコケーキの入った紙袋を下ろして、教室の時計を見上げる。
時刻は4時過ぎ。
今から駅まで歩いて、電車に乗って、雪乃の仕事先に向かう。
うん、大丈夫。
雪乃が仕事をいつも終わる時間には、間に合う。