アホすぎる俺と男前すぎる彼女との愛の奇蹟
「タメって、何組?名前教えて?また話してくれる?」

朝のショックのせいで弱気になってしまっている俺はついまくし立ててしまう。

「わかったからちょっと待て」

そういって男前な彼はすくっと立ち上がると目の前の倉庫であろうコンクリートの塊によじ登り鞄を掴んで戻ってきた。


なるほど。

空から人が降ってくるなんて凄いなぁ、なんてノンキに考えていたけど謎が解けた。


どうやら彼は空腹だったようで鞄からどでかい弁当箱を取り出した。


そらそうだ今は昼休みなんだから。


適当に鞄をそこらに投げ捨てて弁当片手に俺の隣に戻ってくるのを目で追った。


「それ一人で食うの?すげぇなぁ…」

「ほっとけ」

彼は箸をくわえると足元にあった鞄を手繰り寄せる。


不思議そうにその動作を眺めていた俺にドサドサと何かを押し付けた。



メロンパン

チョココロネ

カツサンド 

etc…


「食べろよ、弁当ないんだろ」


ごめんなさい。

怖そうな人なんて思ってしまって。

とんでもない。

みなさん、彼はいい人です…っ!!

俺がいかに嬉しいかをわかって貰おうと抱きつこうとしたが鬼のような形相でそれを拒否られた。


もう照れ屋さんなんだからぁ。

嬉しさのあまり緩んでしまう顔をそのままに、俺はご好意に甘えメロンパンに噛み付いた。



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