恋、教えてください!
「ねえ、お姉さん。出口ってどっち?」

 そう声をかけられて渚は慌てて声の方へ振り返る。

 7年前前も同じように小さな少年に話しかけられた。

 その日は4月から通う高校の下見に来ていた。

『小学校にはね大きなジャングルジムがあるんだ。

 だから高校にはもっと大きなジャングルジムがあると思ったんだけどな……』

 大人用の規模が大きな遊具があると思ったんだろう。

 身の丈からしておそらく小学校中学年の少年だろう。

 図体の割に考えることが幼くそのギャップが渚には思わず苦笑する。

『でも無くって……。

 探していたらどこから帰ればいいか分からなくなっちゃった』

 ふと空を見上げると空の色が薄茜色になっている。

 寒さと空腹で不安感が増したのだろう。

 少し泣きそうな少年の手を引くようにして渚は苦笑し学校の出口まで一緒に向かった。

『お姉さんって可愛くて優しいね。

 僕、大きくなったら結婚してあげる』

『お願いね』

 そう真剣に言う少年の気持ちが嬉しく思わず笑顔でお願いしていた。
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