月のあかり
「そう‥‥」
ぼくは落胆したような言い方をした。
いや、明らかにため息混じりな落胆だった。
それは満央に女優の素質があるとか、ないとか、そういうことに対してではなく、ぼくよりも高梨のほうが、はるかに満央のことについて詳しく理解していると悟ったからだ。
ため息を吐き切ると、こちらに注がれている視線に気が付いた。
顔を向けると、葉の枯れ掛かった観葉植物越しに、長澤さんがぼくらの会話と、そこに横たわる空気をじっと見守っていた。
不思議なことに、その視線を浴びたことで、何かに後押しされるように感じたぼくは、今度は逆に高梨へと質問を返した。
「満央のお姉さんと付き合っていたそうだけど?」
「ええ、舞と付き合っていました」
「二人ともそっくりだったみたいだね」
ぼくがそう言うと、高梨はゆっくり大きく瞬きをして、苦笑いを浮かべた。
そして少し面倒臭そうにこう言った。
「やめましょうよ、そういう回りくどいの」
「なにが?」
「じゃあ、ぼくから腹を割って話しますよ」
どんな言葉が繰り出されるのか、分かっているようで分からなかった。
ぼくは黙って、彼の次の言葉を待った。
「ぼくも‥‥満央ちゃんのことが好きです」