月のあかり
「お願いがあるの」
舞はそう言って、ぼくの目を見据えた。
「そのことを裕也さんに伝えて欲しいの」
「ぼくから?」
「ええ、そうよ」
どうして?とぼくは返した。
「彼の夢の中にも出て、伝えてあげれないのかい?」
そうじゃないの。と舞は眼差しを強めた。
「直樹さん。このことは貴方へのメッセージでもあるの」
「ぼくへの‥‥‥?」
タペストリーの満月が本物の月ように輝いて見え、ぼくの身体を万遍無く照らした。
柔らかく体内へと浸透するその光に誘引され、満央と屋上で交わしたあの会話が、再び鮮明に蘇る。
『私は夜道に迷った人を照らして、助けてあげる役だったの』
月のあかり‥‥‥
「ねえ、直樹さん」
舞が言った。
「もう時間がないわ」