アウトサイダー

「紗知……紗知……」


少し苦しげな顔をして私の名を口にする彼は、いつでも私だけを見つめてくれて――。


「紗知、一緒になろう。結婚、しよう」


私とひとつに混ざり合いながら、そうささやく彼を心から愛おしいと思う。


これでいい。
これが私の運命だった。

そして、太陽の……運命だった。


彬さんは艶めかしいうめき声とともに果てた後、私を腕の中に包み込んだまま、もう一度あの言葉をささやく。


「紗知、結婚しよう」


プロポーズは、彼に抱かれながらなんて、誰かに聞かれたって言えやしない。
だけど、最高のプロポーズだった。


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