アウトサイダー

彼はそのまま、私が落ち着くまで抱きしめ続けてくれた。


その日は、永沢さんは別の仕事でクライアントに会いに行っていた。
彼から鍵を預かった私は、スーパーで買い物をして先に部屋に帰った。



真っ暗な部屋で電気もつけずにただ呆然とする。


太陽と私の思い描いていた家が、もしかしたら近い将来実現する。

だけど……それは私たちのものではなくて。


いつも鞄の中に潜ませてあるあのキーホルダーを取り出して両手で包む。
彼と私を繋ぐたったひとつの思い出に、本当に鍵がつけばいいのに。


でも……それにはあまりに多くの障害が立ち塞がっていた。


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