アウトサイダー

「太陽……」

「心配するな。もうずっと一緒だ」

「うん」


さっき会いに来たときよりずっとはっきりと言葉を話すのは、麻酔が切れてきたからかもしれない。


「太陽、痛い?」

「あぁ、ちょっとな。でも俺は満足してる」

「えっ?」

「やっと紗知を守れたなーって」

「太陽……」


そんな彼にしがみつくと、ドクドク心臓の音がする。

ずっと私はこの腕に守られていたんだ。
出会ったあの頃からずっと。

会えなかった時間も、すれ違っていた時間も、太陽の存在が私を成長させてくれた気がする。


「ありがとう」

「どういたしまして」


そうクスクス笑う彼に、再び幸せを噛みしめた。


< 513 / 576 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop