アウトサイダー

その日は、太陽と建築現場の視察。
朝別れたばかりの彼と再び仕事場で顔を合わせるのは、なんだか恥ずかしかった。


「紗知」

「はい」

「百合が事務所を辞めた」

「えっ……」


ずっと百合さんのことは気になっていた。
だけど、永沢さんが斉藤さんに任せておけの一点張りで。


「斉藤さんの紹介で新しい事務所に移ったんだ。俺もきちんと話をした」


知らなかった。
そんなこと一言も言っていなかったから。


「百合が言ってた。いい家を作らなかったら許さないって」

「うん」


ふたりで見上げた空はまぶしいほど輝いていた。

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