光の花は風に吹かれて
根拠がないわけではない。

これも仮定の域を超えないけれど、ローズが半分闇属性を持っているということはおそらく遺伝子の中には無効化の呪文の記憶があるのではないか、と。

そこにローズの気持ちが伴わない行為があったとして、彼女の身体の奥深くではそれら2つの要因が反応しあって妊娠という結果を避けていたのかもしれない。

ローズはポカンとしたままセストを見つめている。

「すべては私の推測ですけれど……タイミングと相性、そして母親の気持ち。小さな花が咲くのはそんなに難しいことではないのかもしれません」
「ほ、んとう……ですか?」

ローズは瞳を潤ませて搾り出すような声を出した。

「私は、もう少し貴女だけを愛でたいですけれど」

セストはベッドに手をついて、ローズの唇に軽く自分のそれで触れた。

「私の予感は、よく当たりますよ?」

そう言うと、ローズはホッとしたように息を吐いた。そんな彼女の頭を撫でて、セストはシャワー室へと足を向けた。

忙しい1日の始まりに、2人の未来を考える。

これからは“夫婦”として、寄り添ってお互いの花を育てていこう。



そんな2人のもとに天から花が届くのは、もう少し先のお話――…
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