晴れのち雨

さて、
少し思い出話でもしながら、貴女に伝えそびれた私の事を話しましょうか。



私は貴女と初めて出逢った日を、とても鮮明に覚えています。


昼間はあんなに晴れていたのに、夜になると雨が降り出した日でしたね。


当時の私はどんなに晴れていても、常に傘を持ち歩いていました。


雨が恐かったから。

そして事故を思い出して、泣いてしまったのを傘で隠すために。


雨に濡れながら帰ろうとする貴女を見て、ある女性を思い出した。

同じく雨の日にどんなに待っても帰ってこなかった女性を...


自分でも驚きました。
貴女の腕を掴んでまで、貴女に傘を差させて帰らそうとするなんて。



それから、貴女と一つ...二つ...と思い出を重ねていきました。
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