Firstly
は?

その変化をただ見上げていたシュリアナは、次の瞬間ドレスを翻して戸口へと逃げ出した。

後ろではバタンと派手に転がる音がする。

「え?リヒーザルト様っ?!」

今度こそ主の一大事に従者が駆け寄っていく。

それを後目にちゃっかり自分の従者の腕を掴み、馬車でシュリアナは教会をあとにした。

心の中で冷や汗ダラダラ流しながら。

やーばーいー!!

やっちまったあ!

だって聞いてないよー。

口づけの誓いまでするなんて!

だから王子が顔を近づけてきたとき思わず突き飛ばしてしまったのだ。

だってそんな事までする必要ない。

この婚姻は偽りの婚姻なのだから…。



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