桜が咲いたら
自転車を漕ぐと、雪が降ってきた。


マフラーをぐるぐる巻きにして、冷たい風を切るようにひたすらペダルを踏んだ。


凍えるような蜜柑色の月が空に張り付いていた。







街灯に照らされたベンチの前で、あたしを見つけて微笑む先輩。






「これ、やるよ」






白い息を吐きながらそう言って、先輩が渡してきたもの。





小さな白い包みを開けるとそこには…










「お、まもり…?」






はぁ、と息をついてあたしはそれを空にかざす。






手の平に包まれた柔らかい布地。

たくさんの刺繍が施された、綺麗なお守り。

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