大人の関係
静かになった部屋にそっと奈津が戻ってきた。
「美沙ちゃん、いい?」
「あ、ごめんなさい。電話終わりました」


「お料理、持ってきてもらうわね」



なんとなく微妙な雰囲気の中、食事を始める。
きっととても美味しいのだろうが、味覚が働かなくなっているようであまり味を感じない。
それでもなんとか奈津と世間話をしながら食べ進めた。


クレープのようなデザートを持ってきた店員さんが部屋から出た瞬間、急に奈津が立ち上がる。

「あー!もう!せっかく私とデート中なんだから、マサくんのことは考えちゃダメ!」
「・・・ごめんなさい」
「ああ、もう聞かないつもりだったのに。謝らないでよ。美沙ちゃんは悪くないのよ。悪いのはあいつよ。あいつ!」
「あの、長野さんから何か聞いてるんですか?」

奈津は大きく息を吐き、椅子に座った。
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