Last flower【執筆中】
「何してるの？」
　
カスカが尋ねると、二人は特に驚くこともなく自然にカスカを振り向いた。
　
「デイジーがさぁ、さっき妹と一緒に親父に殺されたんだ」
　
昼間の笑顔とはうって変わって、スイムは神妙な表情で言った。

ほっこりと白い煙を吐いた声は、少し掠れていた。
　
「デイジーって誰？」
　
「こっから無事に親かなんかに引取られて出て行くやつもたまにいるんだ。

デイジーはそうだった。でも酒浸りの親父に、結局は殴り殺された。

だから俺達はここであいつを見送ってんだ」
　
カイがこんなに沢山喋るのを初めて聞いた。

相変わらず、視線は編み物に落としたままだったが。
　

「でも…なんでそんなことがわかるの？」
　
「俺にもわからないんだよなぁ」
　
今度はスイムが呟いた。
　
「わからないけど、わかっちゃうんだー。どんなことでも、誰のことでも、

未来や隠したい秘密でもなんでも。

だから気味悪がって両親はここに俺をいれたみたいでさぁ。

俺が側にいたら都合の悪いことが色々あったんだと思うよー」
　
のんびりとした、冷静な声。けれども、悲痛ともとれる。

カスカがスイムをじっと見つめていると、彼は照れくさそうに
　
「あんたどっちだっけ？顔見ただけじゃ、さすがに俺もわかんねーや」と笑った。
　
「カスカだよな」
　
またしてもカイは、すぐに見破った。なぜだろう。カスカは胸がドキドキしてきた。
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