Last flower【執筆中】
「なんでわかるの?」と、本当は聞いてみたかったけれど、もう一つの疑問を聞く方が先かも知れないと思った。
 
「カイ、なんでいっつも編み物してるの?」
 
「え?なんでってなんで?」
 
カスカを振り仰ぐカイの言葉は、突き刺さるようだった。
 
「だーからお前、なんでそーぶっきら棒なんだよ」
 
フォローするようにくしゃりと笑ってスイムが言った。
 
「だってそんなんどうでもいいじゃん」
 
「どーでもいーなら言ってもいーじゃんかよぉ」
 
スイムと会話をしている間も、カイの指の動きは止まらない。
 
数分、時が止まったようにカスカは感じた。

見上げると月は思っていたよりも、うんと近くにありコンパスで描いたように丸かった。
 
「…時間が経つのがわかりやすいから」
 
月に見とれていたら、ふいにカイの声がした。
 
「ここにいると、時間の流れがゆっくりで頭がガンガンする。

吐きそうになる。なんか作って形にして…ってのを繰り返す時だけ、少し気

が紛れてラクになる」
 
「パズルにはまってた事も、あったよなぁ」
 
スイムが笑う。カイが頷く。
 
「でも、あんなんじゃ全然気が紛れなかった。だから編み物にしたんだ」
 
独り言のように言うカイを見ながら、カスカはもう一度心の中で噛みしめた。
 
『私は、カイのことが好きだーー』と。
 
見知らぬデイジー。妹と一緒に殴り殺されてしまったデイジー。
 
知らない誰かのためにお祈りをするのは、初めてかも知れなかった。

カスカは胸の前で指を組み、そっと目を閉じた。
< 19 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop