Last flower【執筆中】
あの巨体の女の子、アンコともユルカは仲良くなったようだった。

ユルカがアンコをカスカ達の部屋へ連れて来る時はいつも、

狭い部屋がますます狭くなった。

「アンコ、クッキー作るの得意なんだって」

ユルカの言葉にカスカは頷き、そう、と笑顔を作った。

「今度バザーがあるっていってたじゃない。皆でクッキー作って売ろう」

いつの間にか、季節は春を迎えていた。

年に一度、唯一外界にいる人達を招いてこの施設ではバザーを行うらしい。

「作りましょっ!作りましょっ!!」

アンコはニコニコニコニコと、ずっと笑っている。

「わかった。作ろう。どうせ何かは出品しないといけないんだから…

チャルは?一緒にやる?」

カスカの後ろでいつものようにネイルを塗りながらチャルは「パス」とだけ言った。

最近のチャルは、何故だかずっと機嫌が悪い。顔色も良くない。

何かの病気ではないか、とカスカは密かに心配していた。

なので、真夜中トイレに立ち、また窓の外の人影を見つけた時、慌ててそっと外に出た。

そこにいたのはスイム。

「あれー?どうしたの、また」

穏やかな声。

「スイムこそ。…また、誰かを見送ってたの?」

「いや。俺、基本不眠症なんだ。夜は、静かでいーよ」

「…そう」

カスカは、チャルの様子についてスイムに話を聞いてもらった。

こんな時、以前なら真っ先にユルカに相談してたのだけれど。
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