Last flower【執筆中】
「何よmother。「もう消灯の時間」なんでしょ?」

からかうように言うチャルを見つめて

motherは冷たく言い放った。

「あれは、あんたの影響でああなったわけ?」

片方の口角を上げ、微笑みを作ったmother。

しかしその重たく座った目は、明らかに冷え切っている。

「違うわよぉ。なんなのそのヌレギヌ?今のあたし、

ずぅっとおりこうさんにしてるじゃないの」

「…昔はあんたも酷かったものね。

何晩もあの部屋に入って…そう。まぁ、なら、いいわ」

「あれって何よ」

突然の尖った声にmotherは「ふぇ?」とマヌケな声を出した。

声の主は、ユルカ。

「私の姉妹をアレ呼ばわりしないで。

ああなったってどういう意味よ。

カスカは何にも変わっちゃいないわ。謝りなさいよ」

怒りに震えるユルカを見つめ、ふぅ~とmotherは溜息をついた。

「大人しい子達だから、始めは扱いやすかったのにねぇ……。

ねぇ、ユルカ?あんた達はどうしてここにいるのか理解してる?

外に出してもらえない理由がわかる?

大人しくいい子にしていなきゃいけない理由は?」

motherは軟体動物のような舌で唇をヌメリと舐めて言葉を続けた。

「『いらなくなった子供』だからよ。

外の世界であんた達が暮らすことを全ての大人が拒んだからよ。

そんなあんた達の面倒を見てる…私や他のここにいる大人だって、

大した報酬もない、ボランティアみたいなもんでやってるのよ。

ねぇ?だから私達の言う事を聞かない方がおかしいでしょ?

感謝こそすれ、反発するのはおかしいでしょう?」

「うるせーうるせー♪あぁもうそんなハナシ、

あたしは100万回聞いたわよファック!

そろそろ眠りたいなーぁ。電気消すわよmother」

捲くし立てるようなチャルの言葉を飲み込むように、

フッと部屋は暗闇になった。

それと同時にバタン!とドアを閉めmotherは部屋を出て行った。

「気にしてたらきりないわよ。ここはそーいうとこなんだから」

「うん」

と、小さくユルカは答えた。

「でも…最初に会った頃と全然違う、mother。

やさしい人かと思ってた」

アハハ、とチャルは笑い、

「あれがあのオバサンの本性よ。

大方プライベートもうまく行ってないんじゃない?

息子にガールフレンドが出来たって手紙を読んだだけで

機嫌悪くなるようなコドモよ、あの人も」

「うん。…ねえチャル、ありがとうね」

「え?何が?」

「カスカも私も、チャルと同部屋でほんとに良かったと思ってる。

よく、二人で話してたんだよ。チャルの言葉に救われたこと、

ほんとにいっぱいあるから…ありがとう」

「ふぅん」
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