Last flower【執筆中】
カスカはチャルが死んで以来、

ずっと大人しくしていた。

私服を着るのもやめた。脱走もやめた。

motherに歯向かい、

神経を逆撫でるような言動も、一切しなくなった。

もちろんそれは、大人達を油断させるため。

カスカはもう全てを決意していた。

いらなくなった子供たち?なんてバカげた呼び名だろう。

私達は、いつまでも永遠に子供のわけではない。

この牢獄から解放される日は

ーー本人の望む形でとは限らないけれどーー必ずやって来る。

それが少し早まるだけのことだ。

『囚人』のみんなを一人残らず建物の外に連れ出して

私がケリをつけてやる。

チャルの遺したライターの炎で、

このくそったれな建物を大人達ごと燃やしてしまおう。


「ファックよ、あたしの人生なんて。」


いつかのチャルの言葉が蘇る。


チャル。

私の人生もファックだわ。

でもね。ここで冷たく重たい鎖は断ち切ってみせる。

どっかで見ててよ。


15分で終えなきゃいけない慌しいシャワーの時間

カスカは女の子全員に小さなカードを手渡した。

男の子には、スイムが渡してくれているはずだった。

決行はーーー次に晴れた真夜中の午前2時。

火事を起こすことは書いていない。

ただ、建物の外に最小限の荷物をまとめて

集まってほしいとだけ書いた。

ユルカには、直接話した。

けれども、やはり火事を起こすことは言わずにおいた。

カスカにとってこれは、自分独りの戦いだった。

下らない両親、下らない親戚、下らない、施設の大人達。

そんなものに振り回される人生は、もうごめんだ。
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