恋の訪れ
結局気分がすぐれないまま訪れたバーベキュー当日。
もうすぐ夏休みが訪れる7月。
太陽が眩しいくらいに焼きつける午前。
「ごめん、莉音。遅くなっちゃった」
「ううん。まだ迎え来てないし」
待ち合わせ場所で、真理子は暑さをしのぐ為、持っていたウチワで仰ぐ。
「それにしても暑いね」
「うん。って言うか、真理子なんなの、その荷物」
大きなバッグを持つ真理子に思わず唖然としてしまう。
重そうに肩から掛けるバックはパンパンに膨れてた。
「あー、着替えとか。あとユミがビーチボールとか言うから」
「えっ!?着替えってなに?」
「だって川辺で遊んだら濡れちゃうじゃん。だから?ってか莉音持って来てないの?」
「うん。だって別に遊ばないもん」
「だったら何しに行くのよー」
「何しにって、真理子が誘ったからでしょ!」
「そーだけどさ…でも楽しもうね。嫌な事忘れてパァーっとね」
「そだね…」
「あ、来たよ」
大きく手を振る真理子は一台のワゴン車に向かって笑みを向ける。
嫌な事忘れてパァーっとって言うけど、忘れられそうにもないと思った。
目の前に車が停まり、ドアが開いた瞬間。
「おまたせー」
こっちに向かってユミちゃんの甲高い声が響いた。