恋の訪れ

あの日から真理子は本当にサクヤ先輩達との約束をあたしには言わなかった。

まぁ、あたしが誘わないでって言ったからだろうけど。

でもそうしてくれるだけでも助かる。


真理子は度々遊んでるらしいけど、あたしはもう本当にいい。

だってロクな事ないし、嫌な思いするだけ。

だから、本当にサクヤ先輩と昴先輩には会う事なんてなかった。


学校で見かけることはあっても、近づきたくもないし係わりたくもない。


でも、そう思ってたのに…


誕生日の真夜中。

今年こそは絶対に誰がこの金平糖を持ってくるんだろうと、眠い目を摩りながら窓側に座って道路を見つめてた。

怪しまれないようにと、電気すら真っ黒に消して、ずっと見てた。


もう夜中の3時。


流石に限界を感じてきたのか、目が重く何度か落ちる。

夜更かしをしちゃ、また体調不足で頭痛が激しくなっちゃうって事も知ってるのに、でも絶対にこの目で確認したいって、そう思った。


あぁ、もうほんとにダメ。

気づけば3時半になってるし、もう既に嬉しくもない誕生日。


眠気を遮ろうと、少し窓を開けると冷やりと冷たい風が入り込む。


「寒いっ、」


腕を軽く摩って、不意に視線を道路に向けると、あたしの目が物凄く、物凄く、ここぞとばかりに見開いた。


「え、何で…」
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