恋の訪れ

「でも、誰だとか分かんなくて。頑張って、頑張って、誕生日には起きて誰だか見つけるんだーとか思っててもいつの間にか寝ちゃってて…」

「……」

「結局11年目…。だから今更、この人が誰なのかもどうでも良くなっちゃって、」

「……」

「知るのが怖いっていうの?そう言うのってありません?」

「さー…」

「ですよね、先輩って女心、知らないですもんね」

「は?」

「いえ、なんでもないです」


初めて会ったあの日から先輩の印象は悪魔だから。

でも、ちょっと優しい人なのかな?って思う時もある。


あ、でもそっか。

この英語を教えてもらっているのはサクヤ先輩との交換条件であって、それがなきゃあたしは英語なんて教わってもいない。


「…つか今日は終わり」

「え?」

「帰るぞ」

「え、でも…」

「お前、もうやる気ねーだろ。また明日な」

「明日も教えてくれるんですか?」

「サクヤとの約束だかんな」

「はぁ…サクヤ先輩ですか…」

「とりあえず、これやっとけ」


紙に書かれた英語の問題。

昴先輩の綺麗な字で書かれた問題文をあたしは鞄の中に入れた。
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