恋の訪れ
「ねぇ、それよりね。さっきサクヤ先輩がバーベキューの日程が決まったからって」
「え、何それ」
「ほらー、言ってたじゃんカラオケに行った時、行こうねって」
「えぇっ!?あれって本当の事だったの?」
「え、もしかして嘘だと思ってたの?」
「当たり前でしょ?やだ、あたし行きたくない」
「でも、もう莉音も参加オッケーですって言っちゃったし」
「えー!なんで勝手に決めちゃうの?やだ、行きたくない!」
あんな人達と一緒なんて絶対嫌だし。
何されるかも分かんないし、何言われるのかも分かんない。
「ダメー、あたしも行くし楽しもうよ。…ね?」
なんて真理子は嬉しそうに言うけど、全然嬉しくも楽しくもない。
そんな事を言うから、今日はずっとブルーだった。
昼休み。真理子に連れられて来た食堂のテーブルに思わず顔を伏せた。
「おーい、莉音、何も食べないの?」
「食欲無い」
「あんた、まだバーベキューの事引きずってんの?」
「そうじゃないけど…」
「で、何食べるの?なんか買ってくるけど」
「いいよ、別に」
ゆっくりと顔を上げて真理子を見ると、不貞腐れた様にあたしを見つめ背を向けた。