恋の訪れ
ごった返す食堂が、いつも以上にうるさく感じる。
隣にある大学生と同じ食堂だからだろうか。
溢れる様にごった返す食堂に今日は何だか落ち着かなかった。
「はーい。莉音にはサンドイッチね」
「別に良かったのに」
「どーせ後でおなか減ったーとか言うじゃん」
「今日はなりそうにないよ」
「だって今日も教えてもらうんでしょ?」
「さぁ…ね。連絡ないし」
「聞きなよ、あそこにサクヤ先輩居るじゃん」
「サクヤ先輩に聞いてもねー…」
「サクヤ先輩っていつも楽しそうだよねー」
なんて言ってる真理子からサクヤ先輩に目を向けると、男女の和の中でワイワイと騒いでいるサクヤ先輩が目についた。
始まりは何もかもあの人からなんだって、そう思うと深いため息が込み上げてくる。
いや、そうじゃなくって。
よく分からない合コンなんかに参加したからだ。
行ってなかったら今頃、サクヤ先輩とも昴先輩とも赤の他人だったのに。
スッとその光景から視線を避ける様に見た先に見えた物に、ここぞとばかりに目が見開いた。
その衝撃あまりガタン、とテーブルにぶつけた瞬間、
「ギャー、莉音何してんのよ!」
真理子の叫び声が聞こえる。